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短答合格者採用のメリット・デメリット

通常、監査法人に勤務するのは会計士試験に最終合格(短答・論文)した人がメインですが、

最終合格していなくても、短答合格者として監査法人で採用・勤務することができます。

これを通称、短答合格者採用(以下、短答採用)と言い、論文試験の勉強しながら仕事ができ、論文試験前3ヶ月ほど(6月から8月)は勉強休暇までもらえるという制度です。

私が勤める法人にも短答採用の方がいますし、他法人でも似たような制度があるようです。

この短答採用について、私が思う良し悪しを簡単に書きたいと思います。

 

まず、私は短答採用がお薦めできるのは「人による」と思っています。

その理由をメリット・デメリットも挙げながら書いていきます。

 

メリット

・実務経験を先に積める

 修了考査に合格しなければ、公認会計士にはなれないのですが、この修了考査を受けるための要件に、実務経験2年以上をクリアする必要があります。

 監査法人に勤めていれば、この実務経験を先に積めるので、一刻も早く会計士になりたければ周りより早く監査法人に勤めることはメリットになります。

・一部の科目について、理解が深まる

 試験科目の監査論は、非常に実務的な内容も含まれるので、先に実務経験を踏むことで理解が深まり監査論が苦手な人は得点が伸びる可能性があります。

 また、有報を見る機会も増えるので、開示上どうなっているかについても学習することができますが、試験にとって直接的なメリットとは言えないです。

・収入がある

 単に無職専念するよりは、経済的にメリットはあります。月に20〜25万円くらいが相場かなと思います。

・そもそも短答採用は狭き門

 短答合格していれば誰でも採用される訳ではありません。合格可能性が低そうな人を採用するのはお互いにとって悲しい結末となるので、監査法人は論文合格の可能性が高いと思う人を採用する傾向にあります。

 つまり短答採用された時点で、将来を買われていることになります。これは自信になりますし、それだけでも前向きに頑張れそうですので、ありかなと思います。

 

デメリット

・専念している人より勉強時間が少なくなる

 日中は仕事しているので、専念している人よりはどうしたって勉強時間が少なくなります。論文にギリ落ちた(不合格者の中で上位)くらいの実力者でなければ、このハンデを背負うべきではありません。

・仕事の疲れやストレスを抱える可能性がある

 短答採用とはいえ、最終合格したJ1と同じような仕事が振られます。この仕事内容に差はありません。

 残業は基本的にお願いされることはありませんが、監査チームによっては残業せざるを得ない場面も生じることがありますので、仕事で疲れることもあるでしょうし、人間関係がうまくいかなければ不要なストレスを抱える可能性はあります。

・なんか受かった気分になる

 普段J1と同じように仕事をしていると、心のどこかで満足してしまって、自分もまるで会計士試験に受かったかのような錯覚に陥り、試験勉強へのモチベーションが下がっていく可能性があります。監査の仕事することが逆効果になるパターンです。実は私、監査法人でこういう感じの人を見て、この制度の怖いところだなと思いました。

・三振したら解雇になることも

 短答合格者採用制度は、論文合格を前提にした制度です。短答合格者はこの論文を3回まで受けることができますが、3回受けてもダメだった場合どうなるでしょう。

 契約社員として採用されている場合は、おそらく契約解除(つまりクビ)になる可能性が高いです。もしかしたら今後の意向を確かめられて、人によっては契約を更新してもらえるかもしれませんし、監査補助ではなくアシスタントとして雇用されて生き残る可能性もあります。

 正社員として採用されている場合は、基本的に解雇の恐れはありませんが、短答合格者でなくなるため、試験前休暇や予備校代の補助などの支援を受けられなくなります。結果として勉強時間の確保がより厳しくなるでしょう。

 

以上、思いつくメリットとデメリットを挙げましたが、

こんな短答採用がお薦めなのは、

・収入がなくて経済的に困っている事情がある人

・早く公認会計士になりたい人

です。

 

仕事することで収入が得られる経済的メリットがある人は、無職専念するより気持ちが楽になるのであれば、短答採用は検討すべきです。その辺でバイトするよりは高給です。

また現在ある程度の年齢で、経理等の職務に就いていない人で、実務経験2年という要件を早く満たしたいのであれば、先に監査法人に入るのはありです。状況によっては、論文に受かってから監査法人に入る場合よりも、先に要件を満たすことがあります。

逆にお薦めしないのは、無職専念ができて経済的に困っていない人です。

無理に働く必要がなければ、専念した方がより早く合格できるに違いありません。

 

以上、思いつくものを簡単にまとめてみました。

参考の一助になればと思います。